
私共が現在取り組んでいる地域ぐるみによる、安全で安心の街づくりと青少年健全育成の為の今日までの活動内容と事例を報告させて頂きます。
鹿児島の天文館は南九州一の繁華街として賑わい、昼夜を問わず多方面から人々が訪れてきます。
昭和63年頃、天文館ぴらもーる周辺、近隣の商店街、街の裏筋や公園、ビルなどナンパ目的の若者、周回族、期待族、暴走族、暴力団組員のシンナー売人などが県内外から集まり、夜を徹しての騒音や爆竹などで街を歩くのも怖いと女性の方からは相談を受けたり、地域の安全・安心の街はすっかり失われてしまっていました。
住民は夜もゆっくり眠る事も出来ませんでした。ビルの屋上、階段などはトイレがわりに使用されたり、暴走車が商店に飛び込んでショーウィンドーやシャッターなどを破壊したりと、まさに「無法地帯化」していました。
どうにかしなくては、と言う気持ちはあっても地域の防犯活動・防犯意識は白紙の状態で警察に頼りっきりでした。このままではいけないと地域のリーダー的方々を捜し出し、街の状態と防犯活動の重要性を説得してまわりました。
一部の地域だけを重点的にパトロールしても必ず周辺に散っていくだろうと考え、周辺全域の住民を巻き込んでの行動を計画しました。「おつきや交番」管轄の加治屋町、西千石町、照国町、山下町、中町、東千石町、各天文館通連合会、山下小、甲東中、各P・T・A、あいご会、民生委員などのリーダー的な方々に熱心に主旨の説明をし、賛同して頂きました。
昭和63年7月25日 鹿児島市中央公園において地域住民、警察で防犯モデル道路の発会式を開催、全国で初めての防犯モデル地域推進指導員として中央警察署長から30名のモデル地区推進指導員の委嘱を受けました。地域の住民達と警察の音楽隊を先頭に天文館の繁華街で防犯啓発パレードを実施、住民からはがんばって!声援を受けながらいよいよ本格的なパトロールがスタートしたと「熱い」ものがこみ上げてきた事を昨日の様に思い出します。深夜でなければ実体は分からないと午後11時から朝2時までをパトロールの時間帯と定めて当初3ヶ月間は連日連夜の徹底したパトロール活動を実施しました。補導されてタバコを吸いながら反抗的な態度で文句を言うのをぐっと怒りをこらえての説得やシンナーに酔った少女を背負って交番に行きながら背から罵声を浴びせられてもつれていったりしました。たむろしている少年たちに早く帰るように促しても帰ろうとしない「家にいても両親はいないしつまらない」と言い、「両親がいないなら君がもっとしっかりしないといけないし、誰か心配してくれる人もいるだろう」と諭すのですが可哀想でなりません。
ある夜のパトロール中、裏通りの暗い道に駐車中の人物がどうしても行動がおかしいのでよく見たら袖口にシンナーをいれて吸引しているところでしたので110番通報しました。それぞれから聞いたところ一名の男は成人で子供も生後4ヶ月と2歳の父親との事、「子供は親の背中を見て育つ」と言います。現代の父親、母親像も子供の目からも大人として認められない親も増えている事実を目の当たりにしたおもいでした。これからすくすく育ってくれるであろう幼子が可哀想に思え怒りがこみ上げ思いっきり説教した事もありました。
又、ザビエル公園で朝までシンナー吸引していた少年達が山下小学校の子供達にシンナーを吸わせようとしているのを聞きつけ早朝補導を実施し早期に解決しました。蝟集している少年達はとにかく拡散させる事が大事です。集団はとんでもない事をする危険性をはらんでいますし、暴走族などもそうです。強がり、良いかっこつけなど人より目立つ行動は彼等の得意とするところです。彼等を拡散すれば又どこかに行く、まさにイタチごっこと言われるかもしれませんが、犯罪防止観点からは必要な事だと思います。それと私たちのパトロールは深入りしないのが鉄則です。27年目を迎えるにあたり何らの事故、怪我が無かったことは何よりの事です。
指導員の中には「声掛けだけでいいのだろうか」と言う人もいますが、私たちが名前を聞いたり、色々話したりしている事に対して子供達の心には必ず何か残るはずです。毎週同じメンバーがいなくなったのも、慈愛溢れる、やかましい親父さん効果ではないかと思います。
活動状況は、NHKスペシャル(2004・5・30)で放送され、少年犯罪が多発する中、鹿児島市の少年犯罪が18%減少している日本でも極まれな地域として紹介されました。現在も、少年補導状況は減少傾向を維持しています。
青少年が自暴自棄になり、悪いグループに引き込まれる前に自分自身の事をしっかり考えて欲しいのです。
このように地域一丸となったパトロール活動は効果満点で非行少年や犯罪も激減しました。家族での安らぎを犠牲にした、青少年育成補導活動・環境浄化パトロールにより安心の街を取り戻す事が出来たのです。
青少年問題や安心の街づくりはゴールのないマラソンで常に地道な努力が必要です。
又、一度ともした灯を消すことなく、鹿児島県民のオアシス的な天文館が明るく安全で安心してショッピングでき、笑顔あふれる街である為にも活動を継続していきたいと思います。
私達は行政関係各機関と連携し地域住民も一緒に立ち上がって初めて青少年健全育成・地域の安全が確保される事を実体験を通じて知る事が出来ました。又パトロールに参加している各地域のメンバーもそれぞれの実体験から各方面で活躍されて「灯台守」の役目をして頂いています。「殺身成仁」「忘己利他」の精神高揚が活動ポイントになっています。
現在では県内外で多くの地域住民によるパトロール活動がなされている事について大変嬉しく思うと共に、価値観を一つにした高い志の人々が「絆」を深め連携して活動する事の意義は深いと思います。「みんなでつくろう安心の街」を合い言葉にほのかな灯りを燈す「灯台守」としての役割を担って活動を強化して参ります。現在は20代・30代のメンバーが活動して頂いております。
今後も、地域安全活動の中核的担い手として、自主防犯活動に取り組む人々や地域住民・関係各機関と共に連携を密にして更に、その輪を拡げ安全で安心して生活できる地域社会実現の為に一層寄与してまいりたいと思います。
(記 2014年8月) |